映画を娯楽として考える方には、向かない映画。なんとなく、問題がいつの間にかスーパーヒーローによって解決されるようなアクションものとは程遠い。この映画自体、進むことも後退することも出来ない灰色の現状をそれぞれの立場から捉えた非常にいい映画です。あえて文句を言うならば、中身の重さに引き替え邦題タイトルのなんと安直なこと。まだ直訳の方が良かったかも。
映画的には退屈だが、"リベラリズム"の限界を乗り越えようとの"思い"は伝わる。おすすめ度
★★★☆☆
オバマ、クリントンの壮絶なデッドヒートにようやく決着がつき、いよいよ大統領選が近づいてきた。ハリウッドは元来リベラル勢力が幅を利かせており、この時期になると政治的メッセージ色が強い映画が増えるが、これは極め付けの反ブッシュ、反共和党キャンペーン映画だ。
対テロ強硬派で自信家の共和党上院議員と、リベラルな女性ジャーナリストのやり取りは、いかにも手だれた善悪二元論の物差しで語られ、さして目新しいものではない。ただ、T・クルーズ扮する議員の覇権主義、アメリカ絶対主義的な言動をファッショと決めつけるのは容易いが、9.11時の報道、言論を始めとする、マス・メディアの風見鶏的対応を冷笑し、所詮はリベラルと我々は表裏一体と言い放つその頑強な鉄面皮ぶりに比べ、M・ストリープ演じるジャーナリストの何と脆弱な事か。まるで、心優しき“リベラル”の限界を、ロバート・レッドフォードは感じているようだ。
むしろ、観ていて、なるほどそう来たかと感じたのは、後にアフガンに軍人として志願する大学生たちが、研究発表の席で、全米の総ての高校生を1年休学させて軍隊組織に入れる事の義務付けを提唱する件で、一見危険な発想とも思うが、M・ムーアの「華氏911」や堤未果の「貧困大国アメリカ」(岩波新書)でも喝破されていた様に、戦争の先兵として戦地に赴くのは、黒人、ヒスパニック系マイノリティーにプア・ホワイトと言う不平等な現実こそアメリカの根源的問題と捉え、富裕層も例外なく兵役させる事で社会や痛みを知る、ある意味これは真っ当で過激なリベラリズムではないか。
現状への閉塞感と正義感を以って、軍に志願する事でアメリカを変えようと考えた若者も、奇しくもアフガンで、つい先日痛ましくも命を落とした日本のNGOの若者も、どんなに青くても、甘くても、仮にそれが若さゆえ見誤った事だとしても、何かをしなければと行動する勇気とこだわりを持つ若い世代に光明を見る。
それにしても、劇中語られるアメリカが世界から嫌われた5つの出来事って、ベトナム、グレナダ、チリ、パナマ、イラク、ヒロシマナガサキ、、、とても5つじゃ済まないと思うけど。
大変良く出来ています。
おすすめ度 ★★★★★
全般的に言うと初心者向けだと思います
。他の方がコメントされているとおり、
ご参考になれば幸いです。大変お勧めですよ!!