足を骨折したジミーのアパートを訪ね数十回のライトキスを交わす場面なんてロマンティックそのもの。グレースに有名なせりふを言わせたシーンです。中学時代に劇場で見たあのジミーのかっこいいこと!荒川選手がオリンピックでクールビューティーと表されていましたが本当のクールビューティーはヒッチコックのサスペンスに登場する女優さん。その中でも飛び切りがグレースです。伝説のケリーバッグもしっかり確認できます。女性にもお勧め。犯人はあの鬼警部アイアンサイド。覚えてますか?
キスシーンのなまめかしさに陶然おすすめ度
★★★★★
アルフレッド・ヒッチコックという人は、心の底から女性が好きだったんでしょう。どのヒロインも、見惚れるほどに綺麗に撮れているのがその証左。とりわけ本作でのグレイス・ケリーの登場シーンは白眉です。いきなりアップで迫る金髪・碧眼・真紅のルージュ、どれを取っても完全無欠。それは正しく美のスペクタクルに他なりません。
見所満載の本作ですが、中盤で延々と繰り広げられる、グレイスとジミー・スチュアートのキスシーンは必見。「汚名」でのケーリー・グラント×イングリッド・バーグマンのそれを超える、官能的な名場面。今から50年前も昔の作品なのに、身体の心から熱くさせられること請け合いです。これぞ名匠(女好き)ヒッチコックの面目躍如って奴でしょうね。
グレイス・ケリーの美しさをひたすら力説しましたが、作品そのものは公開当時から傑作扱い。未来永劫色褪せることの無い、サスペンスの古典・金字塔です。「イブの総て」でのベティ・デイヴィスの世話係役で名を馳せた、皮肉屋セルマ・リッターの愛すべきお茶目さも、どうかお忘れなきように。
マンハントおすすめ度
★★★★★
ヒッチコック映画の中では「ハリーの災難」等と並んで、コメディタッチが色濃く出ている映画です。と、言うか、粋な女性が意中の男性をこちらに振り向かせる映画、言ってみればこれも一種のマンハントの映画ですね。ひたすら美しいグレイス・ケリーが一瞬ストップ・モーションでコマ送りの様になるシーンでは、ヒッチコック監督の彼女への思いが見て取れます。そして、当然ながら、「危ない気をつけろ!! 悪い奴がすぐ後ろにいるから、指輪は諦めて直ぐに逃げるんだ!!!」と画面の中の彼女に向かって大声で叫んでしまう映画でもあります。
のぞきの映画おすすめ度
★★★★★
これは、のぞきから始まるサスペンスです。舞台は、あるビルの裏庭です。
素晴らしくよくできた脚本、撮影、演出すべてがパーフェクトです。
プロフェッショナルの上手さおすすめ度
★★★★★
ヒッチコックほど、「映画的な映画」を完成させた人は
そういないと思う。
中期にはレイモンド・チャンドラーらが脚本を担当していたのだが、
彼らとの協力体制をなくし、脚本という「ネタ」よりも、
自在のテンポとリズムを駆使した「映像の構成」という
「絵によるストーリテリング」で映画を完成させた。
こういう人を職人と呼ぶべきなのだろう。
「裏窓」はその技巧の最高点の一つだ。