北条民雄商品

いのちの初夜

ライ病の悲惨な症状をひしひしと感じました。感染者は絶望的になってもおかしくないし、一般社会で人目にさらされて生活するのも苦痛が大きく、閉じこもりや自殺に陥る人も多かったのではないでしょうか。
感染力が弱いとしても。治療が困難、後遺症が顕著であれば差別もひどく、隔離されて絶望感にさいなまれるとしても、一つの隔離された生活圏として取り入れられれば少しは安堵感もあったのでは？？
現在解放されたとはいえ、やはり施設内での生活に留まる人もいるのですから。

もし自分が該当者で、肉体的な苦痛が緩和され人目を避けて生活できるのなら隔離施設行きも有りです。いのちの初夜関連情報

いのちの初夜 (角川文庫)

ハンセン氏病に限らず、剥き出しの命のせめぎ合いの中から優れた文学が生まれると感じました。『いのちの初夜』はWEBサイトの青空文庫に収録されているので、興味を持たれた方はまずそれを入手されると良いでしょう。読んで更なる興味を持たれたのなら是非本書を手にとってみてください。

眼球譚について：
眼球の濁りからはじまり次第と肉体が緩慢に朽ちていくさまが淡々と綴られていくのだが、
恐ろしさに戦慄するよりも、それでもなお生きようと抗らう人間のしぶとい生命の息吹きが感じられる。
北條民雄の素晴らしさはらい病の恐ろしさに屈することなくなおも生きようとする人間の生命力を活写した点が評価できる。
陰惨な病なのにどこか明るさを失わない文体は作者自身の生きる逞しさが滲み出ていたのだと思う。いのちの初夜 (角川文庫) 関連情報

定本北条民雄全集〈上〉 (創元ライブラリ)