スウィート・ラヴィン・ベイビー (Feelコミックス)
短編集です。
表題作の「スウィート ラウ゛ィン ベイビー」はビアンカップルと知り合った女の子の切ないお話。他に最近の女性同士の恋愛というテーマの発見となったという1993年発表の「美雪」。この作品は今とはかなり絵柄が違ってて不思議な感じ。「恋にならない」はボーイッシュな女の子に恋してしまった女の子の切なさを。「言われなくても恋してる」は友達の元彼との夏休みの日々が描かれています。他5編収録。
やまじさんの作品は恋する気持ちがとても優しく、しっかりと描かれていて、好きです。切なくても、泣いても、恋することはやっぱりいいなあって思えます。絵柄もはっきりした線で、絶妙な仕草や素敵な服、表情、とても魅力的です。今回の短編集はビアン以外のお話も収録されていますが?ビアンに抵抗ある方は読むのを避けてしまうかもしれません。でも、恋する気持ちは一緒だということがわかるいい作品、おすすめです。
LOVE MY LIFE ラブ マイ ライフ [DVD]
ここ半年くらいの間に「ガールズ・ラヴ」にカテゴライズされる作品を6作ほど観たが、本作がいちばん良かった。
吉井怜さんを見たのは10年ぶりくらい(正確には、本作の制作が2006年なので7年)で、最後に見たのが深夜枠のドラマだったように記憶している(タイトルは忘れた)が、本作を観ているうちに「ああ、こんなコだったな」と思い出した。
もう一人の主役である今宿麻美さんについてはよく知らないが、彼女や脇を固める俳優陣もいい味出していると思う。
ラストのシーンもいやらしさがまったく感じられず、とてもキレイに撮れているのが良かった。
細かいところまで見ていくと今ひとつに感じられる部分もあるが、良作だと思う。
インディゴ・ブル- (Feelコミックス)
この作者は、前作「LOVE MY LIFE」で等身大のレズビアンを生き生きと描いていましたが、今回はそれにもまして良い出来に仕上がってます。レズビアンが題材というと、どちらかというとウェットな感じがするなー、と思っていましたが、この作品は、一味違っていて、良い意味でドライに描かれています。
華やかではありませんが、丁寧でシンプルな描線が素敵。何度も読み返したい、大切なマンガの一つになりました。
フリーソウル (Feelコミックス)
同性愛を扱った漫画をいくつも描いてきたやまじえびねの作品のなかでも、もっとも完成されたものだと思います。
主人公の少女の、トランペット奏者への恋を軸に進むストーリーは、どこかひりひりとしています。
細い描線とムダのない絵柄がプラスにはたらいて、深刻になりがちな同性愛というテーマでありながら、淡々として清潔な印象を受けます。
本編が完成しているだけに、巻末の番外編はやや物足りないかんじもしました。
愛の時間 (Feelコミックス)
女性同士の恋愛を中心に描いてきたやまじえびねが
新境地を開拓した長編と言える。
ゲイ男性に恋をした、美術史専攻の大学院生の女性が主人公。
性愛を超えた愛、性と暴力の問題がテーマになっているが、
作品全体は重くなりすぎず、やまじえびねらしく、洗練された
タッチで描かれている。
また、ストーリーはありきたりの展開ではなく、意外な方向へ
どんどん進んでいき、サスペンス小説を読むような面白さが
あった。ゲイ男性同士の愛と確執を描いた箇所は、ジャン・ジュネ
の小説のような妖しい魅力があって引き付けられた。
いつもながら登場人物がみな魅力的だ。主人公の女性は受動的で
弱すぎる気がするが、自分の弱さが自分と他人を傷つける、という
台詞にあるように、そういう自分を認識している知的な人間でもある。
装丁も美しいのでおすすめ。