愛の嵐-無修正ノーカット完全版- [DVD]
この作品を映画で観て、シャーロット・ランプリングのadmirerになりました。それが高じてウイーンまで行って、それと思われるホテルに宿泊してもみました。多分、実在してはいなかったのでしょう。
DVDはわたしの秘物となりました。退廃的で精神的に危険な作品です。
狂気の愛 (光文社古典新訳文庫)
シュールレアリスムの中心的存在、アンドレ・ブルトンの代表作。
20年以上前に読んで、「なんだかよくわからないけど凄い」と思ったことだけは覚えている。
今回、古典新訳で読み返してみて、まずわかりやすさに驚いた。
もちろん、シュールレアリスム文学だから、難解で詩的な表現も多い。
全体のプロットも、つかみ所がないとも言える。
しかし、大胆な訳と、詳細な注釈で、シュールレアリスムの世界観のようなものを
実感させてくれる。
愛のどんな敵も、愛が自らを讃える炉で溶解する
いいなあ……。こういうフレーズを書きたいものだと思う。
まさに「詩」だ。
いずれにしても、ブルトンの作品がこんなふうに手軽に読めるだけで感動である。
愛と狂気と死の物語―ラテンアメリカのジャングルから
クレオールは北アメリカでジャズの誕生に重要な役割を果たした。彼らの複合文化はさまざまな芸術分野で化学反応を引き起こし、花開いた。本書に収められているキロガの短編もそのような複合文化の結晶といえるのではないか。
タイトルにあるとおり、これらの小説の主役は密林であり、大自然である。添え物に過ぎない人間は、しかし、未知の暗闇に翻弄される姿が的確に描かれる。
本書を読んでいて、芥川龍之介を思った。芥川の描く今昔物語の世界が、キロガの密林なのだ。「一粒のダイヤ」のとぎすまされた鋭い描写は、芥川を彷彿とさせる。狂気に陥りかけ、服毒自殺した芥川と、不幸を背負い、同じく自ら命を絶ったキロガ・・・・・どちらも子供向け文学にも長じていた同時代人だったというのは偶然の一致というものだろうか。
智恵子抄 (新潮文庫)
高村光太郎は、日本の彫刻会で知らぬもののない高村光雲の息子として1883年に生まれました。
彫刻家の道を歩む事を望む父と道をたがえ、文壇の道を進んだ光太郎は、雑誌「明星」に寄稿するなど
俳句や作家・詩人の道を歩みました。
精神障害のある妻・智恵子に深い愛をもって見つめた詩集・智恵子抄はあまりにも有名です。
この角川文庫・智恵子抄は、智恵子抄の初版が全文記されています。
さらに光太郎が、智恵子抄を書く過程にあった出来事や、この詩集を寄せる智恵子への思いを補遺としてかかれています
付録として光太郎の歩んできた軌跡を書いた年表も記され。
単に詩集を楽しむだけではなく、この作品を書くに至った作者・光太郎の人生を読み解く事ができる構成になてちます。
私はこの智恵子抄の詩を、小学校の教科書で読んだ事がありますが。
改めて全文を読んでみると、やはり素晴らしいものだと思います。
特に智恵子を観察した詩には、妻を愛しながらもどこか切なく感じさせるものがあります。
「値ひがたき智恵子」には、(智恵子の現身はわたしを見ず、)との一文があり、ここの光太郎自身の動吠が聞こえてくるようです。