成長してゆくセーラの心。おすすめ度
★★★☆☆
セーラは父を亡くしてとうとうメイドとして暮らすことになりました。
ここから目に見えてセーラへの風当たりはひどくなっていきます。
ラビニア役の山田栄子さんが、このような役は二度とやりたくない、と言われたのも無理はないかも…。
セーラはといえば、初めてのきつい仕事に、世間知らずだった自分を知って少しずつ成長していると思います。
もともと優しいセーラですが、正直前半のセーラのままでは、好きになる人と嫌いになる人の差が激しくて、とてもやっていけないと思いました。
経験は人を育てるだけあって、何でもできるようになろうとする、セーラの前向きさはこの不幸あっての新たな一歩だと思うのです。
「悲しいメイポール祭」で、セーラはこじきと間違われ、小さなお金持ちの少年に銀貨を渡されるシーンがあります。
この場面で、セーラは本当に自分の境遇が変わったことを思い知り、誇りを傷つけられます。
しかし、本当は、この少年の姿は以前のセーラなのではないでしょうか?私見ですが、貧しい側のプライドにセーラは気づいて、もう少し他人を尊重できるようになる、という描写があればもっと良かったと思いました。
このアニメの長所は、人の憎悪の描写がうまいことですが、反対に思いやりの描写が一方的で見る人によっては「……」という感じです。
加えてもう少しセーラに喜怒哀楽が欲しいところ。特にクライマックス。
よって星3つです。
はっきりいって、すさまじい出来です。
おすすめ度 ★★★★★
わたくしめもついに買いましたよ
。値段の割には上出来。
ホント満点を付けても良い出来です。
概要
大富豪の父を持つセーラ・クルーは、ロンドンの寄宿学校ミンチン女学院に特別寄宿生として入学する。友達もでき、幸せな日々を送っていたがそれもつかの間。11歳の誕生日に、父の死と破産を知らされる。悲しみにひたる暇もなく、その日からセーラは、小間使いとして屋根裏の狭い部屋で暮らすことになるのだった…。バーネットの原作をアニメ化した、1985年放送、11本目の「世界名作劇場」。
「名作」シリーズの主人公はそれぞれにさまざまな苦難に直面するが、「一番つらい目にあった主人公は誰?」と聞かれれば、多くの人が本作の主人公セーラを思い出すのではないだろうか。食事すらろくに与えられずにこき使われ、ミンチン院長や元クラスメートのラビニアにはねちっこくいじめられ、たまに味方になってくれる人はそろって立場が弱い人ばかり。しまいには雪の日に学院を追い出され、マッチ売りまでする羽目に。救いのないことこの上ないのだが、それでもセーラは優しさと誇りを失わない。ある意味、「名作」シリーズ中もっとも強靭な精神力を持った主人公と言えるかもしれない。全体を通して、見る側を決して安心させず、しかし絶望もさせない効果的な構成が際立っている。セーラがお金持ちに戻るラストは、本当にほっとするし、痛快だ。
ちなみに、これまた壮絶なしごきに耐えるヒロインで一世を風靡したドラマ「おしん」の放送が1983~84年。もしかしたらこの「セーラ」は、「世界名作劇場版おしん」ということで企画されたのではないか…と思うんですが、どうでしょう。(安川正吾)