蒸気の熱に煽られたSF的冒険の記録。おすすめ度
★★★☆☆
正直言って、僕はギブスンとスターリングがこの小説で示している(示しているのだろう)深遠な命題についてはほとんど理解できていないし、興味もない。だから星三つにした。
ただ、物語としては大いに楽しめた。
単純な理解としては、本書は、蒸気式の計算機が高度な発達を遂げた世界――幻想の19世紀ロンドンを舞台にしたSF冒険譚である。
歴史上の実在の人物が数多く登場する点がまず、面白い。
ある部分は史実のとおりに、そしてそれ以外の部分は大胆に脚色された魅力溢れるキャラクター達が活躍する。
物語は19世紀後半、ラッダイト運動後、本格的な帝国主義時代へ突入する直前のイギリスを舞台に展開する。
蒸気コンピューターにかけるある重要なプログラムを巡り、様々な立場の登場人物達が、豊穣なイメージに溢れた大きな一つのプロットを紡いでいく。
訳者黒丸尚のエッジのきいた文体は、霧煙るロンドンにおける陰謀と、血と火薬と蒸気のレトロな冒険を(ギブスンのその他の著作同様)、最先端の情報と分析ツールに変えている。
そこから答えを導き出すのは、知的探究心に溢れた読者に他ならない。
複数のモニターに映し出される鮮やかな断片を解析し、結論を導く。
本書はそんな楽しみを読者に与えてくれる。
大変良く出来ています。
おすすめ度 ★★★★★
大変良く出来ています
。他の方がコメントされているとおり、
感動やドキドキ感を手元に置いて、私同様に何時でも手に取って思い返して頂きたいと願います。