読売ニュース

おみくじ

プロ野球一球速報

+ ナラタージュ (角川文庫 し 36-1) +

ナラタージュ (角川文庫 し 36-1)

島本 理生
おすすめ度:★★★★★
最安値はこちら!

Amazon.co.jp



まるで昨日のように思い出す
おすすめ度 ★★★★☆

丹念な情景描写を通じて感情を表現するような小説で、日々が淡々と語られていくから、途中で疲れそうなぐらいに長い。
過去の回想を繰り返しながら、出会ってしまったその瞬間から一歩も進めない、主人公の情緒をつかめてくると、後半は意外に過ぎるのが早かった。
妥協や打算のないひたむきさが、瑞々しくて痛々しい。歳を取るほどに失った純粋さが、輝かしくて、胸が痛くなった。
帯の謳い文句に反論するようだが、壊れていない。壊しても、壊れることすらできずに愛しぬいている。

心の中に聖堂がある。心の最も奥深く、高く清らかで、美しいところに。
最初に刻み込まれた人を祀る聖堂がある。初めて愛した人に捧げられた聖堂がある。
聖堂を持つ人にとっては、その後の人生をすべて決めるような出会いをしてから後、その座は誰にも譲り渡されることはない。
たとえ、後から誰かを好きになろうとも、恋しようとも、慕おうとも、愛そうとも、聖堂は厳としてここに在る。
秘密の聖堂においては忘れられぬ痛みさえも甘く、人はふとしたときに立ち戻り、ひっそりと熱と涙を供えるのだ。



後半はやや苦しいが、佳作なのは間違いない。
おすすめ度 ★★★★☆

前半は早熟な女性作家らしい、
鋭敏な感性で彩られた筆致が美しい。
描写が冗長だという批判的な意見もあろうが
これは彼女が日本文学の正当な後継者である証である。

それだけに情動が物語の前面に顔を出す
後半はやや苦しく感じる。



私は共感しました
おすすめ度 ★★★★★

『ナラタージュ』はハードカバーでも持っていたけれど、文庫でも何故か買ってしまいました。
ハードカバーで買ったときも文庫として発売されて本屋さんで手に取ったときも、何故かとてもこの本に惹かれました。

この本のすごいところは、あんなに難しくて複雑な感情を上手く文章にしているところ。
ああいう書き方ができるのはこの作家さんだからだと思います。

精神的につながってしまう人と出会う、ということは恐ろしく幸福なことで、しかし人生を狂わせることになるかもしれないという危険と出会ってしまうことと、ほぼ同じだと思います。
こういった考えが伝わるひとは少ないかもしれないけれど、本当にそういうことなのです。
そういうことがほんとうに上手く描かれています。

この作品の批評のひとつに、無駄な描写が多い、ということがよく挙げられていますが、無駄ではないのです。
泉の感情を表現するのにはもしかしたらまだまだ足りないくらいかもしれないです。

こんな恋愛小説にはなかなか出会えないと思います。
ぜひ、読んでみてください。



切ない、というのとはちょっと違うのだけど・・・
おすすめ度 ★★★★☆

66歳男性からこの本を貰い、売れたとかそういうことは全く知らず読んだ。
最初は「取り立ててなんてことない青春恋愛小説」という感じで淡々と、
訥々と静かに話が進んでゆくが、途中から「動」に変わる。
主人公・泉と彼女の高校時代の教師、葉山先生との「愛」が軸なのだが、
正直なところ、きれいごと過ぎる感が否めない。
それが読んでいてもどかしい。
愛の形なんて人それぞれだし、人を好きになるには理由なんてないと
言ってしまえばそれまでなのだが。
葉山先生という人が、私にも良く分からなかった。
ずるい男であるのは間違いないが。
ただ、読後にある種の感動とも言える余韻が残った。
泉は一生、「その思い」を抱えて生きて行くのだろう。
それがどういうことなのか分かるのは、ある程度年齢を重ねてからだと思うので
もし学生時代に読んだとしたら、また違った読後感があるように思える。



よくもわるくも、人を刺激する作品
おすすめ度 ★★★★☆

売れた本はつい採点するような意地悪な態度で読んでしまう。本書については、文章はさほど練られていないと感じたし、首をかしげる箇所も少なくなかったけれど、案外ぐぐっと引き込まれてしまった。特に前半、主人公・泉が思いを寄せる高校教師・葉山先生と再会、泉に好意をもつ小野君も現れて・・・スリリングで一気にページを繰った。後半がその期待感に十分に応えてくれるものだったかと言えば、好みもあるかと思うが・・・残念だった。わたしには葉山先生という人がよくわからない。泉も、潔癖そうに見えてある意味危険な天然系魔性タイプというのか、気持ちを重ねにくいキャラクターだった。小野君は前半とびきり感じよく描かれ(うっかり恋しそうになる)、後半で思い切り落とされる。こういう男の子もいるなと思い当たらないでもないけれど、小野君が泉と葉山先生のストーリーのための道具に見えてしまって興ざめした。
ところで単行本のときの惹句、「ごまかすことも、そらすこともできない―二十歳の恋」が印象に残っていたけれど、文庫では、初版の帯コピーが「壊れるほどに、愛した。すべての恋する者たちへ― 祈りにも似た、絶唱の恋愛文学」となっている。「絶唱」とはなんとも古めかしい。若い作家の作品にしては落ち着いた言い回しが使われているので、いっそのこと・・・と惹句もレトロ調にしたということか。意図をつかみかねた。若い人には新鮮でいいのだろうか?
話がわき道にそれたが、人を刺激する作品だと思う。よく売れたこと、そしてすごく評価する人と逆の人、両方いたのが頷ける。



買うしかない!
おすすめ度 ★★★★★

出来は非常に良いです。ファンなら買って間違いなく損のない品ですね。
感動やドキドキ感を手元に置いて、私同様に何時でも手に取って思い返して頂きたいと願います。


島本理生 最新動画

島本理生 の最新情報



はじまりの森 島本理生 尼子騒兵衛