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ニート (角川文庫 い 63-2)

絲山 秋子
おすすめ度:★★★★★
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スパっときります。
おすすめ度 ★★★★☆

切れ味鋭い文章。冷酷かつ正確な文章。スサミ果てた若者を愛情もなく描いています。
という具合にスパスパと切り裂いて並べておいてます。で、どうよ?というのは
読んだ人が考えることなのです。でもねえ、2008年8月初日の時点では、無差別殺人
秋葉原で起きた記憶もあり、その後の何件かの「ただ世の中が憎く、殺してしまいたい。」
というどないも同情しようがない事件が多発。インパクト的には世情の方が強いですね。
しかし、文章化して考える、ということでは本書は名著。インパクトがどうよ?よりも
深く言語化して考えるにはいい本でした。
でもなあ、きれいに切り分けたのはいいけど、それ以降、読者はほったらかしかなあ?
で、この先はどうよ?どうすすむのよ?という未来を描いてほしいなあ、と期待します。
切れ味ある文章で好きですね、見方をかえればクールに廃退しててかっこよさも
感じます(60’s生まれ特有の廃退ですかねえ?)



絲山さんの世界観
おすすめ度 ★★★★☆

作者の世界観がよく判る短編集。しかしながら本短編集は現代を表しているものでは無いと思う。表題がニートだし、希薄な人間関係があるだけ、みたいな捉えられ方をして、『「現代の生のかたち」を切り取った、珠玉の五編』(帯より)なんて書かれる作品ではないのです。作品にあるのは、ただただ現代は色んな人がいるけど、こんな人達もいる、てなことなんだと思う。本作が現代社会を著していないのは、なぜなら、登場してくる人物も現実世界で出会わないからである。ほんとバーチャルな人々なのである。(へたれを除く)世の中にこんな人々がいるのはわかる。でもそこを取り出して、社会の縮図なんて言い方をするのはオカシイ、のです。本作はあくまで「社会」ではなく、「物語」として読み、ただ作者の世界観に潜り込むだけで、珠玉な時間を味わうことができるのです。
それにしても、「ベル・エポック」で引越しの荷物の中から、女の子の今後を読み取ってしまうシーン(必読)なんかは、私の心は揺さぶるほどの衝撃をうけました。凄すぎです。



関係性
おすすめ度 ★★★☆☆

いつもの絲山さんの文章ですから、とても読みやすく、また非常に薄い本ですのですぐ読めます。が、中身はなかなかシビアです。それもいつもの絲山作品の特徴なのでしょうけれど。

いわゆるニートと呼ばれる、働くことを拒否している「キミ」と作者絲山さんを彷彿とさせる作家として働く「私」の2者関係の妙を描いた表題作「ニート」他5編の短編集です。そのどれもに私は主人公とその相手の関係、名前を簡単に付けることの出来ない関係性をテーマにしているように感じます。例えば恋人だとか、愛人とか、師弟関係とか、同僚だとか、親子だとか、そういう流通している単語に簡単に置き換えることが出来ない(置き換えてしまう事でとてもある意味チープで、言葉による刷り込みに限定されてしまう)ものを表そうとしているのか?と。ニート(これも、この単語がでてくるまでは「引きこもり」だったり、もっと前は「フリーター」だったり、もっと前は多分名前もなかったと思いますが、存在はしていた)の「キミ」の何故ニートなのか?はどうでも良く、何故「キミ」を私はかまいたくなるのかよりも、かまってしまう私たちの関係性を流通する言葉で簡単に説明してしまう事で伝わらなくなってしまう妙を伝えるための、小説であり、またその妙が伝わることによって読み手の中に残る何かの質感が重要なのではないか?と私個人は感じました。それがあることで私の言葉ではさらにチープになってしまうのですが、心が豊かに、普通の生活がそれなりの普通でない、多面的なモノを見る目が生まれる瞬間の、不運なアクシデントを楽しめるような、そんな何かに繋がっていると思うのです。

だから、この作品の最後を飾るの「愛なんかいらねー」もその異形ではなく、異形を通すことで作られる関係性の妙に私は何となく納得してしまいました。たしかに凄いですが。


個人的に好きな作品は「へたれ」です、みなさんの心にも存在するへたれ具合との相性はわかりませんが、私にはきました。

絲山作品を読んだ事があり、好きな方には是非オススメ致しますし、読んだ事無い方でも、短いので是非。あ、お食事しながらはオススメ致しません。ちょっとひいてしまうかもしれませんけれど。私は目的でなく、そういう手段でしか表せないものがあるのではないか?という探求と理解しております。



ダメンズをめぐる恋模様
おすすめ度 ★★★★★

淡々とした中に燻り続ける仄かな想い。
短編なのに一つ一つ繋がりがあって面白い。



「ニート」も「恋愛」もとおりいっぺんに括らない、括れない
おすすめ度 ★★★☆☆

 一時、こんだけケータイやメール(いわゆるユビキタスって奴?)が発達したら文学やドラマは成り立たなくなるんじゃないか、なんて懸念がどこからともなく発せられた時期がある。そりゃ「君の名は」みたいな予定調和的なすれ違いは、ケータイがあればまず起きないけれど(っていうか禁じ手?)、あらたなディテール、シチュエーションは生まれてくる訳で、そこらへんを掬い取っていくことも、やっぱ文学の役どころではないか。
 「キミの携帯はもう止まっていた。だからメールを打った。〜返事は二十分後に返って来た。さすがオタクだ。起きている間ずっとパソコンに貼り付いているのだ」。
 こういう日常を当たり前に書き写しているのがいいな、と思う。表題になってる「ニート」の解釈も、「TVタックル」とか「ニュース23」といったメディアがニュースや社会事象を大げさに商品に仕立てて消費するようなアプローチでは勿論ない。
 「キミは自分がどんな無駄な生活をしているかよくわかっているし、でも、強い気持ちで、何もしたくないのだ。何もしたくない健康な人間の居場所、と考えると私は頭が痛くなる」。
 えらくもないし、ダメなことは確かだろうけど、しょうがない面もあるよねぇ、私もそうだった時期あるし...
 「ニート」を断定しないように、これまで通り著者は「恋愛」とか「関係」とかをとおりいっぺんに定義しない。「私」とニートの「キミ」の関係も、だらだらとした弛緩と一定の節度が交錯して新鮮である。そして、その「関係」が微妙に変化していくさまも。「私」と「キミ」に、「私のルームメート」が第三者として介在する続編「2+1」も面白かった。
 短編集最後の「愛なんかいらねー」は、この著者の、また別な一面を見た感じで、次作を読む期待が膨らんだ。


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