国際関係から読み解くドラキュラおすすめ度
★★★★☆
ドラキュラなるキャラクターを生み出したのはヴィクトリア朝期のイギリス人作家ブラム・ストーカーだが、これがゴシックホラーの代表作になるまで人口に膾炙したのは、もともと西洋社会に根強い吸血鬼信仰に加え、当時のイギリス社会がおかれていた地政的力学が大きく作用しているというのが本書の趣旨である。全体としては、世紀末イギリスをとりまく国際関係に焦点が当てられており、ビクトリア朝期における社会変革の波や、それに呼応する形で噴出した「性」や「身体性」の問題にはあまりふれられていない。個人的にはそちらのほうに興味があり、ドラキュラはそういう文脈からも読み解けると思うのだが。
結局ドラキュラをとりまく物語とは、社会状況が混沌としてきた時にどの社会でも起りうる「純潔志向」と、それと表裏一体の関係にある「排外主義」の一側面であるというわけで、これを現在日本がおかれた文脈にあてはまて考えてみるとちょっと面白いかもしれない。思想史的試みとしては政治的部分に傾斜しすぎてやや食い足りないが、これはこれで面白い。良書である。
納得の出来
おすすめ度 ★★★★★
背筋にゾゾゾという感覚が走りました
!いや~、ほんと(・∀・)イイ!久々に良い買いモンをしました。
買って良かったと思います。